翻訳・出版を通じた日本と海外の文化交流促進を目指す

設立趣旨

設立趣旨

特定非営利活動法人出版NPO フェスティナレンテ
設立代表者 佐治 泰夫

 グローバリゼーションが進行する時代の社会にあって、異なる国々の人々の間に相互理解と信頼感を醸成する必要性はいっそう高まっています。その相互理解と信頼感の増進は、それぞれの国の文化伝統への理解と知的協力が活発に行われてこそ達成しうるものと考えます。そのための手段が相互的、双方向的であれば、世界の文化的、知的水準との接触の機会をもたらし、事実への正確な知識を尊重し、文化の一方的押しつけや偏見を排除し、地球社会の一員としての自覚を醸成し、文明圏、人種、民族、宗教、国境を超越した相互理解が増進されるものと信じます。そのための方法の一つとして特定非営利活動法人 出版NPOを組織し、出版活動を通じて、その実現を目指す所存です。

 過去70年間に世界で刊行された日本関係の外国語著作の数は飛躍的に増加していますが、その中に占める日本から発信された日本人による外国語著作の数はあまりに僅少です。

 日本語著作の日本から海外への紹介・普及の縮小傾向は、翻訳・編集・出版にかかわる諸々のコストが阻害要因となり、商業ベースでの展開ができないことが大きな要因とみられます。 このままでは、日本人による叡知の集積は、グローバル社会の中にあって、日本語の特殊性から、顧みられることもなく存在しないも同然の埋没した知の遺産とならざるを得ません。とりわけ日本人による社会科学、人文科学分野の叡知の集積を外国語により発信する出版活動(電子出版を含む)を通じて、日本文化が総体として世界の読者に受け入れられ理解を深めてもらうことは今や急務といえます。

 一方、外国語で出版された図書が毎年大量に日本語に翻訳され流通していますが、社会科学、人文科学分野に関しては、偏向がみられ、日本語訳が望まれる良書が日本では日の目を見ないことも稀ではありません。世界の文化的、知的水準との接触の機会は、可能な限り偏向を避けなければ、偏見を助長することにつながり、相互理解を妨げる結果を生むことにもつながります。

 外国語からの日本語訳、日本語からの外国語訳出版の双方向とも、主として収益性の観点から商業出版になじまないと思われる著作(社会科学・人文科学分野)は避けられる傾向にあり、商業出版形態による発信には限界があります。収益確保を目的としない出版NPO法人を立ち上げることにより、積極的な情報公開を行い、法人の活動に賛同する方々の支援を得て、内外の図書館や文化施設、一般読者へ向けて発信して行く努力が望まれます。

 優れた日本語著作が外国語著作として国際社会で受け入れられる一定水準以上の質と体裁を整えるためには、翻訳・校閲・編集・制作・タイポグラフィー・デザイン等の分野における豊かな経験と高度な専門性が要求されます。また、デジタル化の進展に伴い英語 (外国語) 出版物は比較的容易に制作できる時代になりましたが、活字文化500年の流れをくみ、スタイル、可読性など本づくりの基本をふまえてのノウハウの獲得が望まれます。 多彩な経験によって培われ、タイポグラフィーに精通した人材の活躍の場を広げ、ひいては次世代へのノウハウの継承を視野に入れることにより、品質の向上へ向けての不断の努力が望まれます。

 また、外国語著作の日本語訳に関しても、この分野の翻訳を志すためには、国際社会における日本の占める位置や影響力を考究し、広範な知識の吸収と研鑽に務めることが望まれます。

 以上のような背景のもとに、私たちは、「出版NPOフェスティナレンテ」を設立し、内外の政治、経済、社会、文化等、社会科学、人文科学分野における著作を外国語から日本語へ、日本語から外国語への双方向の翻訳書(紙媒体、電子媒体)を刊行し、内外の図書館、文化交流機関、一般読者に頒布する事業活動を遂行します。

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